太陽の竜と闇の青年

「実は……。私、目が視えなくて耳も聞こえないんだ」


皆の顔が驚愕の顔に変わった。


「ルウ！！何でそれを今まで黙っていたんだ！！！」


フウにガッと胸元をつかまれた。


「言ったって迷惑になるだけじゃんか！！それに知ったところで何もできやしないじゃん！！！」


「何かできることはある！！」


「何もできない！！何ができるっていうんだ！！目を潰されたんだ！！どうしようもないじゃないか！！」


「目が見えないルウを助けてやることはできる！」


「たとえば何を？食事を手伝うとか？争いの時に加勢するとか？どーせそんなもんだろ！！そんなものなくたって私は今までやっていけた！！！」


「だけど何かあるだろ！！」


「何もない！！！！！！！！！！！」


私とフウの言い争いはマランによって止められた。


「まぁまぁ、二人共落ち着けよ。まず、何でルウが目と耳を失ったのか教えてもらおうじゃないか」


私はマランをみて言った。


「目は戦の間で潰された。耳はシルバを貰う代わりにヘルに渡した。人は何かの犠牲なしに何かを得ることなんて絶対にできないんだ」


マランの目が見開かれた。


「ルウ、戦の間に行ったのか！？」


私はこくんとうなずく。


するとマランがチッと舌打ちをした。


「ルウが行ったところは多分セーディスだと思う」


「セーディス？セーディスって何？」


フウがマランに詰め寄った。


「セーディスっつーのは一度死にかけた奴を生き返らせるような場所だよ。ただし犠牲を犯してな」


つまり私はなぜか死にかけて犠牲を犯して生き返ったっていうことかな……。


っていうか……、


「私死にかけたの！？」


私が驚愕の顔でマランはブッとふきだした。


「おまえ死にかけじゃなかったらあんなとこ行けるわけねぇだろ。現にフウだって行ってねぇし」


ま、まぁ確かにそうだけど……。


「じゃぁ、そのセーディスってところで死んでたら私ここにいないってこと？」


私が恐怖の顔でマランに聞くとマランはうなずいた。


「おまえがんばったんだな。俺もあそこに行ったこと２回ぐらいあっけどさ、そんなヤワなとこじゃねぇよなー」


確かに……。


セーディスは私の心をえぐった。


深く深く。