太陽の竜と闇の青年
「お二人とも!もうそろそろ降りてきてください!湯のお時間ですから」


下を見ると、サクラが本当にヤバイんです、と言う顔をしていた。


「……仕方ないなぁ……」


私が、最後のくず餅を口に放り込んだとき、フウが言った。


「僕、もうちょっとここにいる。先に湯に行ってきなー」


私は無言で頷いてサクラに叫んだ。


「サクラ!ちょっとそこ退いて!!ぶつかるかもしんないから!」


サクラがあわてて飛び退いたのと、私が飛び降りたのが同時だった。


スタン、という音がして、私の足は地面についた。


「お見事です」


パチパチとほほえんで拍手するラカとは対照的に鬼のような顔をしてサクラは言った。


「姫様!!無茶な降りかたはお止めください!ハラハラするでしょう!!わたくしの心臓が持ちませんわ」


私は、苦笑いしながらサクラのほうに歩み寄って言った。


「サクラが死なない程度に頑張る」


そうすると、サクラは青い顔になって胃を押さえ始めた。


あれ?私、そんなにヒドいこと言ったっけ?


サクラは極度の心配性なのか、すぐに危険なことや困ったこと、私が怪我をしたときなどがあるとすぐに胃痙攣が起き、うずくまってしまう。


そんなサクラを心配して、私はあまり無茶な行動を取るのはやめようと決めたんだけど……。


やっぱり、昔はやんちゃっ子だったからそれがまだ直ってないみたい。


どうしても男の子みたいになってしまう。
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