太陽の竜と闇の青年
「ようやく会えましたね。ウィン=ルウ」


私が笛から口を離し、上を見上げると、本当に整った顔をしていた女の人にもみえる男性が浮かんでいた。


男性の髪色は水色で目の色も水色だった。


「あなたが最後の四神、青竜か」


私が笑って聞くと青竜も笑った。


「えぇ。そうです。私が雨を司る四神、青竜です」


青竜は私の目の前にたった。


背、高いなぁ……。


青竜は私の顔をまじまじとみた。


「天照から聞いた通り、貴方は竜の民ですか。[刻破り]がつかえるという珍しい方。貴方はとても強い意志を持っている。そう、聞いております」


私は頬をかいた。


「強い意志を持っているかはどうかは微妙だけど、だいたいは合っているよ。自分が何で[刻破り]が使えるのか分かっている。自分の存在価値も、分かっている」


青竜はフッと目を眇めた。


「あなたは陽と陰を持っていますね。先ほどのの貴方は陽でしたが、今の貴方は陰です」


私は苦笑いを浮かべた。


「うーん。まぁそうかなぁ。二重人格で自分でも困っているんだ」


そのとき、白虎と壱が私の隣に来た。


「お久しぶりです。青竜様」


青竜は白虎をみて楽しそうに笑った。


「やはり白虎だったのですね。四神の気配がしたのです。おや、背がすごく伸びていますね?」


白虎は苦笑いを浮かべた。


「えぇ。成長痛で毎日ひーひー言ってましたよ。もう伸びなくてもいいですよ」


青竜はふふ、と笑うと、今度は壱をみた。


「あなたは……[神の民]ですか」


壱の真っ赤な目はしっかりと青竜をとらえている。


「あぁ。俺は[神の民」だ。空風壱という」


青竜は壱をよくよくみた。


「あなたは陰ですが、優しい気を持った方ですね。ただし自分の大切なものを奪われたり、傷つけられたりされれば自分を制御できなくなる。そういうところですかね」


それを聞いた壱は苦笑いを浮かべた。


「あぁ。そんなところだ。俺はルウが消えればどうなるかわからない」


少し照れくさくなりながらも壱が暴走した姿を思い浮かべた。


こ、怖い……。
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