太陽の竜と闇の青年
「さてと。蘇ったところでさっさとジャリスを呼びますか」


青竜がスッと扇子を取り出した。


私はこくこくとうなずいた。


やっとここまでたどり着いた。


私は知りたい。


どうすればこの国を変えられるのか、ファジはどんな男性だったのか、なぜジャリスはナエリアとなったのか。


青竜は扇子を振って踊り始めた。


そして形の整った口を開けた。


「風が運んだ淡い花びらは春の追想を思い出す。綺麗だと歌う君。美しいものを集めるために人は産まれてくる。そなたが抱きしめた短い生存はとても綺麗だった。そなたが生きた景色をずっと忘れない。そなたが生きた証とはなんなのか……。私たちに教えてくれ」


青竜が唄い終わったと同時に、強い風が吹いた。


と、とばされる……。


そのとき、グイッと体を持ち上げられた。


「うひゃぁ!」


私が驚いていると、壱の顔が間近にあった。


「多分、こっちのほうが安全だ」


多分って……。


私はそんなにも弱いかぁ!っていいたいところだけど、実際こっちのほうが安全だと思う。


壱に言い返せないなんて……。


会った初めのころは私がよく案を出していたけどなぁ。


そのとき、頭の中に声が響いた。


その声はとっても綺麗な声だった。


「ようやく会うことができるのですね。ようやく私は時放たれるのですね。私はずっとずっとこの時を待っていました。ですが、私はここにはいません。私は光のある場所に存在しています。さぁ、早く迎えに来てください。ウィン=ルウ。私の分身よ」


私は目を見開いた。


ジャリスの……分身……?


風が止んだ後も、私は呆然としていた。


壱と会話した言葉も思い浮かばない。


どうやってあの塔からでたのかも忘れた。
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