太陽の竜と闇の青年
そのとき、扉がガチャッと開かれた。


入ってきたのは意外なことに白虎だった。


「白虎!どうしたの?珍しいね」


白虎はチラッとフィンドをみると、扉を閉めた。


「やはり気づいていたのか。フィンド」


フィンドは切れ長の目を白虎へと向ける。


「あぁ。鬼が気づかないとでも思っていたか?」


白虎は、ふぅとため息をついてフィンドの隣に座った。


「朱雀も玄武も青竜までもがジャリスを慕っている。だからジャリスを一緒に殺すのは難しいだろうな。朱雀だけならまだしも、玄武と青竜が慕っているとなると、こちら側の分が悪い」


フィンドがうんうんとうなずく隣で私は首を傾げた。


「白虎はジャリスを信用していないの?」


白虎は苦笑いを浮かべた。


「いや、まぁ……」


「何で?ジャリスと仲が良かったんじゃないの?」


白虎は後頭部をガリガリとかいて金目を私に向けた。


「俺はジャリスを端っから信じていませんよ。昔から憎悪の気配がしていましたから。3人ともその気配には気づいてはいると思うのですが、ジャリスは巧みに3人を騙したのでしょうね。突然ジャリスを信用してしまったんです。なぜ俺だけが騙されなかったのか……俺はずっとそれを考えていたんです」


フィンドが首をコキコキとならした。


「で?その答えとやらは見つかったのか?」


白虎はうなずいた。


「俺は四神の中でも変な奴なんですよ」


私とフィンドは顔をあわせた。


「変な奴?」


「貴様のどこが変なんだ?」


白虎はフッと笑った。


「俺は一番シャーマンに近い四神なんですよ」


私は目を見開いた。


「いや、シャーマンというよりか……マーダーフィーンドのような感じですかね……」


白虎はフィンドをみた。


フィンドはフンッと鼻で笑った。


「初めて会ったときから感じていたのは当たっていたか。貴様からは鬼に似た匂いを感じた」


白虎もフッと笑う。


「俺が運動能力が高いのも、記憶力がいいのも、他の3人に比べて人間でいる時間が長いのもすべてはマーダーフィーンドに近い四神だからですよ。マーダーフィーンドは魔物。魔物は生まれつき天才と言われるほど才能があるのです。凡人と天才は一生勝つことは出来ないんです。その天才にマーダーフィーンドと俺は選ばれた」


フィンドはニヤッと笑った。


「いや、もう一人存在する」
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