太陽の竜と闇の青年
「我が主。失礼ながら、我が主は死のうとしているのですか?」


フィンドも私をジーと見つめてきた。


「んー……まだ死のうとは思っていない。けど、死ぬかもしれない。イコは……生まれつきの天才だから。もし、私がイコと戦うはめになったとしても、私はイコに勝てないと思う」


白虎は目を眇めた。


「確かに……。アイツがまだ気づいていないだけで、アイツには莫大な力がこもっている。というか、動国の民たちは皆生まれつきの天才だ。その力が遺伝している」


さすが白虎だ……。


私はこくこくとうなずいた。


「イコは怒ったらすごく怖いんだ。だから、もしそのことをジャリスが知っていたら?私を殺すためにイコを使うんだとすれば、ジャリスは絶対にイコを怒らせる。例えば、私がトゥーナ様を殺したとかね」


フィンドが私をみた。


「だが、貴様には俺がいるだろう?」


私は肩を竦めた。


「フィンドがそのときいるかどうかはわからないよ。もしかしたらどこかに行ってるかもしれないし、どこかに連れていかれているかもしれない。ジャリスの手によってね」


まずいことになってきているのはわかっていた。


だけど、何故か心は不安ではなかった。


フィンドは気まずそうに私に声をかけた。


「おい……話が変わるんだが、あの、前々から思っていたんだが、貴様らの親は死んだのか?」


私は頬を強ばらせた。


その表情をみた白虎がフィンドに言った。


「我が主に何てことを!!」


フィンドは白虎に言った。


「貴様も気づいていただろう!」


白虎はウッとつまった。


「何に気づいていたの?」


私が二人を見据えると、二人はシーンと黙りこくってしまった。


「ねぇ、何に気づいていたの?」


私がもう一度訪ねると、フィンドが重重しく口を開けた。


「貴様とヒドラが似ていたことだよ……」


ヒドラ……?


私が首を傾げると、白虎は気まずそうに頬をかいた。
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