太陽の竜と闇の青年
「俺は一度竜の民に出会ったことがあるのです。そのとき一番初めに出会ったのがヒドラだったのです。俺は我が主の顔を初めてみたとき実はかなり動揺していたのです。あまりにも……我が主とヒドラがそっくりだったものだったので」


フィンドが私たちが思ったことを言葉にした。


「もしかしたら……ヒドラは貴様とフウの父かもしれないな」


……ありえない。


そんな……バカな話があるはずが……。


だけど、それは事実なのかもしれない。


私に物心がついたときにはもう両親はいなかった。


だから、ヒドラが父だといわれても否定はできなかった。


竜の民ではずっとずっと叔母に育てられていたから。


「ヒドラってどんな人だったの?」


私がそう聞いた瞬間驚くほど二人は和やかに笑った。


今までみたなかで一番優しい顔だった。


「ヒドラは正義感が強かったんだ。鬼たちが出会った者の中で一番といっていいほどお人好しでな。そのお人好しに振り回されることは多々あった。だが、逆にそれが鬼たちの心を和ませてくれたりもした」


「えぇ。ヒドラとの一緒の生活は今までにないぐらい楽しかったですからね」


しかし、だんだんと二人は話していくうちに暗い顔に変わっていった。


白虎が悲しげな目になり告白したのだ。


「ですが、ヒドラは大罪を犯した罪人。殺されてしまったのです」


私は目を見開いた。


話で聞くヒドラは大罪を犯すような人ではない。


何故……?


私の心を読んだかのようにフィンドが説明してくれた。
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