太陽の竜と闇の青年
「あ、そうだ。ラカ」


私がラカを振り向いて呼ぶと、ラカがフウから目を離して私の目をみた。


ラカは観察力に優れていて人をよく観察する癖があるためなのか、人の目をまっすぐに見る。


……なるほど、サクラが照れてしまうのもわかる気がする。


「フウ、なにかあったの?何かいつもとちょっと違ってたけど……」


ラカが少しだけ驚いた顔をした。


「姫様、気づいていたんですか?若様が少々お困りだってこと」


私はこくん、と頷いた。


「うん。ちょっと雰囲気がいつもと違ってた」


すると、サクラが胃を押さえながらラカに聞いた。


「ラカさん、若様はなにをそんなに悩んでいらっしゃるんですか?」


するとラカの顔が私の顔ギリギリのところに近づいてきた。


……サクラに悪いなぁ……。


「姫様、若様は新しく縁談を持ち込まれたんです」


私は片眉をあげていった。


「へぇ!よかったじゃん」


すると、ラカは少しだけ気むずかしそうな顔をして唸るように言った。


「それが……。若様は王に怒ってしまいまして」


私はなんとなーくわかった気がした。


「あのさ。もしかして、元許嫁がまた結婚してくださいって来たってこと?それで父がOKしたのかな?」


ラカが驚いた顔をして言った。


「姫様は昔からとても勘が鋭いですね」


サクラもうんうんと頷いた。


「若様も勘は鋭いほうですけど、姫様はもっとスゴイですよね。若様と姫様が手を組んで意地悪をしてきた時は胃が破れるほど大変でしたよね」


私は、苦笑いしながらサクラの手をとった。


「ま、まぁ、サクラ、湯に行こうか」


すると、サクラはニッコリと笑って言った。


「そうですね。行きましょうか」

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