扇情
「…遠慮しておきます。うちの新人の方がよっぽど上手ですよ。」
解ってはいても、イチャついてるとしか思えないその会話と、美樹ちゃんが河合クンを見る尊敬とは違う熱い眼差しに気付いてるから、嫌味の一つでも言いたくなる。
それに!私は夜勤明けかけ、激務の後なんですからねっ!
ナースステーションの隅に座っている2人を一瞥して通り過ぎる。
ちょっと感じ悪かったかな…。
でも、アラサー女の夜勤明けなんてこんなもんです。
患者さんの朝食が運ばれるまでに点滴更新しようと輸液ボトルを持って廊下に飛び出す。