愛いっぱいCHU
私は息をのんで話しだした。

「彩さん・・て・・綺麗な人だった?」

「・・・」

聞いていいのか悪いのか・・とにかく先生の口から聞いてみたいと思ってた。

先生の愛した彩さんのこと。

「・・どこにでもいる平凡な女子高生だ・・。俺にとっては唯一無二の存在だったけど」

先生が静かに言った。

ここまで・・先生に唯一無二の存在とまで言わせられるほどの人・・。

うらやましいを通り越して・・尊敬さえもできてしまう・・。

「陽子さん・・そっくりなんだよね、沙都が言ってた」

「・・そうだな・・だけど・・彩じゃない」

「先生・・」

「顔はたしかにそっくりな双子だったかな・・」

そう、前に先生と陽子さんが学校の裏門のところで私に昔話を聞かせてくれたとき・・自分のしたことへの償いの涙を流していた陽子さんの肩をそっと抱いた先生・・。

あの光景は未だに忘れられずにいる・・。

その姿は誰がどう見ても絵になってて・・。

先生のこと、こんなにも・・死ぬほど好きな私でさえもお似合いだと思った。

先生が肩を抱いてたのは陽子さんじゃなくて・・彩さんだとしたら・・?

私は彩さんの顔さえ見たことがない。

けれども・・あの時はそうゆう錯覚にさえとらわれていたんだ・・。

それでも負けたくない。

私でさえ先生とお似合いと思う陽子さんと、先生が一生涯かけて愛した彩さんに。

絶対に負けたくない。

誰にだって言える。

私がこの世で一番先生のこと・・好きだって。

「ねぇ、先生・・」

「・・んだよ・・」



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