愛いっぱいCHU
「だっ、だって平均とらないと化学準備室入室禁止なんだもん・・。そんなの・・やだし・・」

先生の顔を見つめたものの言葉の最後にはうつむいてしまった。

「ああ、もちろんその約束は守ってもらうけどな」

・・・そう・・だよね?やっぱ・・。先生は変な甘えは絶対に許してくれないだろうから私もこんなにもがんばったわけだし・・。

「ここまでがんばったお前に俺からご褒美をやろう」

「えっ!?」

ごっ、ご褒美!?

なに!?おもいがけないこの展開!?

なにっ!?素直にうれしいっ。

「春休み、好きなとこに連れてってやる」

「・・うそっ!!いいの!?」

信じらんない。なに、このうれしいご褒美!!

・・ん・・?春休み・・?

・・・あっ!!

「先生っ、3月30日って何の日か知ってる!?」

私は春休みの中の日を指定して聞いた。

だって・・だってこの日は・・

「お前がわざわざ日にち指定で聞いてくるってことは誕生日とかだろ?」

・・・なに・・このしれっと分析して答える感じ・・。

「う・・うん、そう・・」

そうよ、当たってるけどさ!

そう、3月30日は私の17歳の誕生日。

ちょうど春休み期間中だから小学生の頃から友達には忘れられがちであまりいい思い出ってないんだよね・・。

「わかったよ、3月30日お前に一日つきあうよ」

「ホントに!?ありがとーっ」

私は外が暗くなったのをいいことに先生の腕にしがみついて先生の肩にもたれかかりながら歩いた。

でも、先生は振り払おうとは・・しなかった。


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