愛いっぱいCHU
「お前・・もうちょっと静かに入れないのか・・?」

先生はいつも通りの不機嫌顔。

そんなの慣れっこなので私は話を続ける。

「先生っ、みてみてっ」

私は先生の目の前にさっきもらったばかりの成績表をさも自慢げに披露した。

「ねっ、ねっ、平均より上っ、上だよっ」

「・・・」

実は平均よりもほんの少し上なだけなんだけど・・。

ま、まぁ、平均以上は平均以上だもんね。うん。

「・・・へーー・・化学、赤点・・」

「へっ?」

しまった!忘れてたっ。平均以上をとったことがうれしくてつい先生に成績表をそのままに見せてしまった・・。

そう、今回勉強した甲斐あってかなり成績があがったんだけどそのぶんどうしても克服できない大嫌いな化学がいつもよりも下がったのだった・・。

つまりは、いくら勉強しても点数がとれないであろう化学を捨てて、まだ頭に入る文系を重点的に勉強したというわけだった。

おかげでほかの教科は相当成績が伸びたんだけど、数学に化学・・この二つは大幅に成績が下がってしまった。


私の成績表を引きつり顔でじっと見つめる先生はその後私の顔をじっと睨んだ。

「お前、俺に喧嘩売ってんのか?」

ひぃぃーーっ。

「ちっ、違うの違うのーっ。いや、もちろん勉強したのよっ、うん」

・・・いや、化学と数学は最初から捨てていたので全く勉強していない・・。



私のいいわけを聞いているのかいないのか先生はため息をつきながら話を続ける。




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