愛いっぱいCHU
「優ちゃん・・」



私もいまの優ちゃんと同じときには確かにそう思っていたはずなのに・・。

まるでピカピカの制服が年月を重ねてボロボロになってきたみたいに私の気持ちまですさんできているような気がした。


ただ無条件に好きでいただけなのに、好きでいれたらそれでよかったのに・・。

いつからだろう・・先生の気持ちが欲しくて欲しくてたまらなくなったのは・・。














授業が始まりそうになったので優ちゃんとは途中で別れた。

最後に優ちゃんは

「誰も悪いわけじゃないのに先輩のこと怒鳴っちゃってごめんなさい」

と言った。


芯が強い子だな・・と素直にそう思った。

優ちゃん自身が傷ついていないわけないのに、それでも人のことを思いやれる彼女の気持ちは本当にまっすぐでそばにいるのが無性に恥ずかしくなってしまった・・。


私はなんで自分のことでいっぱいいっぱいになってしまうんだろう・・。


そんなふうに考えながら歩いていると癖になっているのかつい化学準備室まできてしまった。


もう次の授業は始まっている・・。

私はボーっとしているうちにサボってしまった。

先生・・いまいるかな・・。授業中かな・・。


私は静かにそっとドアを開けた。
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