愛いっぱいCHU
「・・これで満足か?」

「・・あ・・」

先生はいつもと同じ顔で私に言った。




ちょっと待って・・。

私・・・何させているの・・?

先生に何をさせてしまったの・・?

先生にとって彩さんがどんな存在か・・痛いくらい知っているはずなのに・・!

好きで当たり前・・愛していて当然・・。

勝てるわけなんてないに決まっているのに・・。

私・・先生の想いを傷つけてしまった・・。



もう・・先生の隣にいる資格もない・・。


「せ・・先生・・ごめんなさい・・・!ごめんなさいっ・・!」

私はたまらず走って部屋から逃げた。

私なんかいなくなればいい・・!

先生の前から消えてしまえばいい・・!

「待てっ、あすかっ!」

先生が走って追いかけてくる。

私は玄関の扉に手をかけ外へ出た。

外はまだ土砂降りのまんまさっきとなにひとつ変わっていなかった。

まるで私の心の中のような降り方をしている。

「あすかっ」

「やだっ、先生っ」

私は追いかけてきた先生につかまらないように雨の中必死に走った。

走って、走って・・息が切れるくらい走った。

「はぁはぁ・・あすか・・・」

「せ・・先生・・」

いつの間にか先生に追いつかれ後ろからきつく抱きしめられた。

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