愛いっぱいCHU
好きと愛してる
先生の旅立ちの日、私は見送りにはいかなかった。

学校を休んでまでいくということ・・。

それは先生が自分の立場をなげうってまで守ってくれた私の居場所を捨てる意味でもあったから・・。

きっと先生もそんなこと望んでいない・・。

だから私は時間通りに登校し、今現在いつもどおり普通に授業を受けている。


本来なら今のこの授業は先生が教壇に立っているはずの化学。

昨日授業を受けていたのにも関わらずすでに懐かしさがこみ上げてくる。


私ってばこんな調子で受験が終わるまでがんばっていけるのかな・・。

自分のことながら不安でいっぱい・・。










「あすかーっ!」

「沙都ー」

少し離れた席に座る沙都がこっちに向かって歩いてきた。

「お昼食べよー」

あ、そうか・・お昼休みか・・。

なんだかぼーっとしちゃうな・・。

「うん・・じゃあ中庭でもいこっか!」

私と沙都はお互いにお弁当を持って学校の中庭までいくことにした。

階段を下る間も廊下を歩いている間も沙都は一切先生の話をしなかった。



「この辺に座ろっか」

適当に空いている場所に二人して座り込んだ。

「ねぇ・・沙都・・先生いまごろなにしてんだろね・・・」

ふと口をついて出た言葉だった。





< 199 / 226 >

この作品をシェア

pagetop