愛いっぱいCHU
「彩のこと刺した男ってね・・私がつきあってた男なの・・」

またまた出てきた衝撃の事実に驚く余裕もなく私は陽子さんのそんな言葉から始まる真実をずっと見つめていた。

先生はそんな陽子さんの台詞をいつもの先生に戻って聞いていた。

「私とつきあう前から彼・・彩のことが好きだったの・・。でもそのこと知ったのは・・彼が彩を刺した後だったけど・・・」

冷たい空気と暖かい空気が交わる・・。

なんだかそんな感じ・・。

「私と彼がつきあい始めたのは彩と和志が半同棲みたいにして家を出た頃・・・ちょうど結婚する半年くらい前だった・・。今からして思えば彼にとって私は彩の代わり以外なにものでもなかった」

そんな風に話す陽子さんの表情もとても切ない・・。

「つきあって半年たったころ・・私・・何も知らなかったから・・彩と和志が結婚したこと・・普通の会話として話した・・。あとは・・・知っての通りよ・・」

「・・・」

先生はなにもしゃべらないし、表情も変えない・・。

自分が愛してやまなかった人を殺した相手のこととっても冷静に聞いている。

まだ自分が彩さんを殺したと思ってるから・・?

そして陽子さんが思い詰めた表情で口を開いた。

「そうよ、本当は彩を殺したのは私よっ。私さえあんなことしゃべらなかったら彩は死ななかった。和志のせいじゃない・・・私が・・私が・・」

「・・陽子・・」

先生は涙ぐむ陽子さんの肩をそっと抱き寄せた。

わかってる・・とってもお似合い・・そう思う・・。

「和志・・・私・・ずっと・・初めてあった時から・・あなたが好きだった・・」

陽子さんは先生に長年の恋心を告白した。

先生は黙って陽子さんの肩を抱き寄せたままだった。

先生と彩さんもきっとこうゆう風な感じだったんだろうな・・。


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