愛いっぱいCHU
「ねぇ・・沙都・・」

私は傍で見守っててくれた沙都に尋ねる。

「陽子さんと彩さんって・・・そっくりな双子なの・・?」

沙都は私の目を見て微笑みながら回答してくれた。

「・・うん・・そっくりだよ・・」

「そ・・・か・・」

私と沙都は先生と陽子さんをずっと見守りながらお互い何かを考えていた。

そして私は彩さんのこと・・

「先生・・陽子さん・・」

私は二人の方へ向かって私の感じたままを告げにいった。

「先生はさっきあの雨の日に出逢ってなければ彩さんは死なずにすんだっていってたけど・・そうじゃないと思う。」

そう・・・私なら・・・私なら・・

「自分の命投げうってでも守りたい・・愛したいって思う人とめぐり逢えた彩さんは絶対に幸せだったと思う・・・女にとって・・こんな幸せってないよ・・・?」

「・・あすか」

私、本当にそう思う・・。

彩さん、絶対に幸せだった。そう言いきれる。

先生や陽子さんのせいじゃない・・。

彩さんが彩さんの意志で貫いた愛の形・・。

それが今生きている先生の姿・・。

ねぇ・・彩さんにはどう映ってるのかな・・?

今の先生・・。

きっといいよね・・これで・・。

私たちの愛した人。

「行こっか・・沙都・・」

「あすか・・」

沙都はためらいながら私の後についてきた。

先生と陽子さんに気づかれることなく・・。

だってこれでいいんだもんね・・。

私、今でももちろん先生のこと大好きで仕方ない。

その気持ちは変わらない。

だけど今は、先生と陽子さん二人をそっとしておいてあげたかった・・。

私の中で何かが・・何かが溶けていくみたいに・・・。

わだかまり・・?いらだち・・?何かわからないけど・・。


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