愛いっぱいCHU
「あすか・・まだ家出て数分なんだけど・・」

え・・まだ地元!?

そうだ、よく考えてみれば私もまだ家を出て数分だった。

なんだか考え事しながら歩いてたから随分時間がたったような気がしてたけど・・。

そんなことより、私が先生の存在に気がつかなかったなんて・・・一体・・。

そこまで・・追いつめられてるの・・?

・・だけど、まだ闇は・・私のすぐ近くにあって・・・もうすぐ近づいてくる・・。

私はまだその事実を知らない。

駅に着くまでの間で・・・。









私と沙都と先生はいつも通りの会話で歩いた。

私が先生を『好き』と言い、沙都の高らかな笑い声が響き、そして先生の何ともいえないいつもの『バーカ』っていう声。

こんな風に過ごす毎日が本当に幸せ。

「・・・!」

沙都が急に止まった。

もうすぐで駅に着く小さな路地。誰も来やしなさそうな所・・。

何があるっていうんだろう・・。

「・・・沙都・・?」

私は沙都の方を向き、沙都の目線が一点だけを見て動かない表情を見た。

先生も沙都の見ている方向へ目線を向ける・・。

そして私もその後を追って目線を合わせた。

< 60 / 226 >

この作品をシェア

pagetop