愛いっぱいCHU
記憶明彩 ―幸福―
「あすかーっ、オハヨっ」

「オ・ハ・ヨっ、沙都っ」

朝から沙都が元気よく挨拶をする。

私もそれに応える。

「ねー、中間どーだったー?」

私は先日返してもらった中間テストの結果を沙都に聞いた。

「んー・・ま・・あまあってトコかなー、あすかはー?」

「なーーっ!!もうぜんっぜんダメ、高校受かるのかしら?私って・・」

沙都のまあまあは前よりもいいってことだ。

しかも学年トップクラス・・。私たちは中2なんだけどそろそろ志望校を決めている子もいるみたい・・。私はもちろんまだだけど・・。

沙都はもう決めてるみたい。

「沙都ってさー、どこの高校受けるんだっけ?」

「えー私?陽明ー。あすかはー?」

「え・・私なんてまだ決めてるわけないじゃん・・」

沙都はキョトンとした顔で言ったけど陽明って・・偏差値まあまあ高かったような・・・。

でも沙都ならもっと上狙えると思うんだけど・・。

「どーして陽明なの?」

私はそう聞く。

「・・うん、前から行きたかったんだ・・」

そうなんだー・・前から行きたい高校があるなんてすごいなー。

「あすかも陽明にしなよー」

「なっ、なに言ってんのよっ、ムリムリっ」

「あすかなら大丈夫だってー、ちょっと勉強すれば」

はぁ・・・簡単に言ってくれるよ・・。

「そういや、ウチのお兄ちゃんの教員免許とるみたいだしなー・・」

沙都の・・お兄ちゃん・・?

「へぇー、沙都のお兄ちゃん先生になるんだー」

「うん・・どこの高校行くのか知らないけど・・」

「そうなんだー、今度紹介してよーー」

私はミーハー心に火がついた。

沙都はそんな私に笑いかける。

「ねー、かっこいいーー?ねーー?」

「もうっ、あすかってば」
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