愛いっぱいCHU
「な・・直哉」

振り返ってはじめて声の主が直哉だと気づいた。

私は直哉の声さえもわからなかった・・・。

もう・・なにもわからない・・。

「どうしたんだよ、昨日ずっとまってたんだぜ?」

・・・そうだった・・。

私・・直哉の家にいくはずだったんだ・・。

「ご・・ごめん、ちょっと・・」

やっぱり言えなかった・・。言えるワケがない・・。

レイプ・・されかかっただなんて・・。

直哉にそんなこと・・・軽蔑される・・。

好きな人にそんな風に思われるなんて・・。

「まーいいや、今度また来いよ」

「う・・ん」

直哉の優しさが痛い・・。

「一緒に帰るか?久しぶりに」

直哉・・今日に限って優しすぎるよ・・。

私・・つらいよ・・。

「うん・・かえろ」

それでもそんな優しさに甘えていたい・・・。












沙都の優しさ・・直哉の優しさ・・

今はとても痛い・・。

でも沙都の優しさは痛くもあるけど・・心地いい・・。

私の気持ち・・誰よりもわかってくれてる。

大好きで大切な沙都・・。

でも・・・直哉の優しさはつらくて・・苦しくて・・今にも泣き出しそうな・・そんな気分になる。

「あすかー、バイバーイ」

校門前で直哉を待つ私に友達が別れの挨拶をする。

一見・・昨日と同じ風景・・。私の気持ちだけが昨日と違う・・。
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