愛いっぱいCHU
「沙都っ」

「な・・なに・・?」

私の急な呼びかけに沙都は後ずさりをした。

「私も早退するっ、あとよろしくおねがいっ」

私は沙都にそれだけを言い残し、自分のカバンを持って走った。

「ちょっ、ちょっとっ、あすかーーっ」

そんな沙都の声をも無視し、私は一目散に走っていった。

その行き先は・・そう・・彰樹のいるあの地下フロア。

こんなチャンスは滅多にない・・。

直哉が早退した今、彼に気づかれずに済む。

この時間にもう一度・・彰樹に頼んでみよう。

あの夜の写真を返してもらうよう・・。

そんなお願いを聞いてくれるワケがないって・・。

わかってるけど・・何かその場所に向かわずにはいられなかった。

直哉との幸せな日々を早く取り戻したい・・!







そうして私は地下にある彰樹のアジトへの階段を駆け下りた。

ドアへ近づくに連れて私の足の勢いは衰えていった。

そしてあと2、3歩という所で立ち止まってしまった。

おそるおそるドアノブを触る。

ひんやり冷酷な温度を感じる・・。

私はそっとドアを開けた・・。

5センチほどあけたところで手を止めた。

信じられないものを目にした。

さらに中からの声が聞こえる。
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