愛いっぱいCHU
あれから自分がどうやって家に帰ったのかもわからない・・。

気づいたら自分の部屋のベッドで寝ていた。

夢か現実か・・区別もできなかったけど・・そのことが夢じゃなく現実だとわかったのは1本の電話だった。

沙都が私のことを心配して電話をしてくれた・・。

一時間目で帰ってしまった私のこととを心配していた。

そんな電話がすべてを現実だと知らしめてくれた。



翌日、私は傷心の内を沙都にぶつけた。

私をレイプさせようとしたのが直哉だということを・・。

そのことをきいた沙都は静かに・・でも今まで見たことのない怒りをあらわにしていた・・。

そしてそんな沙都は私の気が済むまで・・いやそれ以上に話を聞いてくれた。

おかげで少し楽になった気もしたけど・・。

ただ・・売春のことだけは話せずにいた。

そのことだけは沙都に知られたくなかった。




それからもう私は直哉と口をきくこともなくなった。

直哉も直哉で私には干渉もしてこない・・。

自分の気さえ済めば去る者追わず・・・そんな感じの人だった。それはつきあっていた頃からずっとわかっていることだ。

私も今回のことを誰にも言わない・・というか・・言えない・・。直哉はそんな私の性格をも熟知していたんだと思う・・。

私のこの性格が招いたことだということ・・改めて自分のことが情けなくなってしまった。



でも・・今でも思う・・。

あんな酷いことされたのに・・。

私のこと地獄に落とした張本人なのに・・。

どうしてなの・・?あの人のこと・・嫌いになれない。

そればかりか・・二人で過ごした甘い時間ばかりが脳裏に焼き付く・・。

たとえそれが直哉にとって私を利用するための時間だったとしても・・。




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