センセイと一緒 ~feel.Black~
あの体育祭の日。
柊史に頬に口づけされた……あの時。
鈴菜は驚きつつも胸がときめくのを感じた。
……けれどそれは自分だけだったのか。
柊史はやはり、からかっただけだったのか。
鈴菜は目を伏せ、俯いた。
その時。
目の前で扉がガラッと開いた。
見ると、弘子が怪訝そうな顔で鈴菜の前に立っている。
「あら? ……黒瀬先生に御用かしら?」
「……あ……」
「黒瀬先生なら奥にいるわよ」
くすりと笑い弘子は鈴菜を見る。
その余裕に満ちた大人の微笑み。
弘子に比べたら自分は子供のようなものだ。
鈴菜は逃げるように弘子の脇を通り、理科準備室に入った。
中に入ると、奥で柊史が立ち上がるのが見えた。