センセイと一緒 ~feel.Black~

2.初めてのデート




そして12/24の朝。

鈴菜は鏡の前に陣取り、気合を入れて準備をしていた。

柊史がどういう格好で来るのかはわからないが、あまり子供っぽい格好だと柊史と釣り合わないかもしれない。

……と思い、鈴菜は少し大人っぽい服をクローゼットから出してみた。

コットンレースのブラウスに、サーモンピンクのカーディガン。下はシフォン地の茶色のスカートに、少しヒールが高めのローファー。

顔は軽く化粧し、ピンクのグロスをつけてみた。

こんなに気合を入れてお洒落をしたのは生まれて初めてだ。

幸い、今日は姉もデートらしく、家にはいない。

鈴菜は静かに一階に降り、玄関へと向かった。

ガチャ、とドアを開けたところで廊下の奥から母の声が響く。


「あら、鈴菜。どこかに行くの?」

「うん、和泉と図書館で勉強してくる」


とっさに嘘をついてしまった。

鈴菜は足早に玄関を出、バス停へと向かった。




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