センセイと一緒 ~feel.Black~



10分後。

二人は駅からほど近い、水族館の中にいた。

クリスマスのせいか、中はそれなりに混雑している。


「……っ!」


人波にもまれ、はぐれかけた鈴菜の肩を柊史がとっさに掴み、引き寄せる。


「おい、離れるな」


背に、柊史の胸が当たる。

……背後からふわっと香るオリエンタルなホワイトムスクの香り。

いつもの、柊史の香り。

鈴菜はドキッとしながら、柊史が指差した方向を見た。


「ほら、あれを見てみろ。アーチャーフィッシュだ」

「……?」

「テッポウウオと言った方がわかりやすいか?」



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