センセイと一緒 ~feel.Black~



水族館を出た後。

二人は駅前の公園広場に向かった。

ここはクリスマスになると毎年、華やかなイルミネーションで飾られ、人気のデートスポットとなっている。

鈴菜は柊史と手を繋いで歩きながら、イルミネーションを眺めていた。


「きれいだね……」

「あぁ」


柊史が目を細め、隣の鈴菜を見下ろす。

……その、優しい瞳。

この瞳を独占するのは自分だけでありたい、と……

つい、そう思ってしまう。

叶わないことだとわかっていても……。


既に陽は落ち、地面に二人の影が長く伸びている。

もうすぐ、辺りは闇に包まれるだろう。

イルミネーションをぼんやりと見つめる鈴菜の手を、柊史が強く握る。



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