センセイと一緒 ~feel.Black~
柊史が連れてきてくれたのは、河畔に面したお洒落な洋食屋だった。
地中海を思わせる白塗りの壁に、鮮やかなブルーのドア。
店の入り口や店内のあちこちに飾られたグリーンと所々に配置された照明が、どこか幻想的な雰囲気を醸し出す。
鈴菜はこれまで、こういう店に来たことはない。
――――大人のレストラン。
まさにそんな感じだ。
……きっと、京田先生や他の女の人とも来てるんだろうな……
と思うとちょっと胸は痛むが、柊史が普段行っているレストランに連れてきてもらえた、というのは嬉しい。
やがてウェイターが二人を席に案内した。
「本日はクリスマスのため特別コースのみとなっておりますが、よろしいですか?」
「ああ」
柊史は頷き、鈴菜のコートと自分のコートを壁に掛かっていたハンガーに手早くかけた。
……その、手慣れた感じ。
やはり大人だ、と鈴菜は思った。
「お前……確か、ダメなのはセロリだけだったな?」
「うん。……よく覚えてるね、柊ちゃん」
「お前はいつも和泉と一緒にいたからな。嫌でも覚えてるさ」