センセイと一緒 ~feel.Black~
20:00。
食事の後、鈴菜は柊史に手を引かれて駅前のバスロータリーに戻ってきた。
鈴菜の家の方面に行くバスは20:10が終バスだ。
いつもはサラリーマンが長蛇の列を作っているが、今日は土曜日なのであまり人は並んでいない。
既にバスは止まっており、乗客が乗り始めている。
バスの発車まであと5分。
鈴菜はバスロータリーの前で柊史を見上げた。
「……ここでいいよ、柊ちゃん」
鈴菜の言葉に、柊史は足を止めた。
前髪をかき上げ、鈴菜を見下ろす。
……その仕草も、鈴菜を見つめる黒い瞳も……
きっと自分はずっと忘れないだろう。
鈴菜はぐっと手を拳に握りしめた。