センセイと一緒 ~feel.Black~



例え今後、どんな未来が訪れるにしても……

柊史を好きになったことを、恋したことを……

一生、後悔はしない。

今日という日を、想い出をくれたことを……

自分は一生、忘れないだろう。


「今日はありがとね、柊ちゃん」


背後でバスがエンジンをかける音がする。

鈴菜は少し笑い、柊史を見上げた。

……美しい漆黒の瞳。

鈴菜を優しく見つめる瞳。

鈴菜は胸の奥から熱いものがこみ上げるのを感じた。

そして、それに押されるように……口を開いた。


「……想い出を作ってくれてありがとう、柊ちゃん。大学に行っても忘れないよ」


それは心からの感謝の言葉だった。

鈴菜の心から零れ落ちた、言葉。


しかし。

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