センセイと一緒 ~feel.Black~




女を抱いたことは初めてではない。

けれど……

これほどまでの焦燥感、渇望感に駆り立てられて抱いたのは鈴菜が初めてだ。

これまでの、ただ快楽を追うだけのセックスではなく……

鈴菜の一生を手に入れたい、という渇望。

もし鈴菜を失ったらと思うと不安でたまらなかった。

その想いをぶつけるように、ただひたすら抱いた。

鈴菜の体が持たないとわかっていても……

禁忌であるとわかっていても……

抱かずにいられなかった。


――――恐らく。

生きるとは、こういうことを言うのだろう。

鈴菜を抱いた今、柊史はそのことを身をもって感じていた。

誰かを本気で求め、愛すること。

一度その真実を知ってしまうと、かりそめの安らぎなど何の意味もなくなる。


「愛してる、鈴……」


柊史は鈴菜の頬を撫で、口づけた。

……甘い唇。

何よりも誰よりも愛おしい人。

柊史は鈴菜の体を腰に腕を回して引き寄せ、その躰を強く抱きしめた。


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