センセイと一緒 ~feel.Black~



なんだか体が重い。

――――けれどどこか、心地よい。

鈴菜の意識は白い世界をふわふわと漂っていた。

肌を覆う温かいぬくもり、甘いホワイトムスクの香り。

ずっとこの香りの中に漂っていたい。

と身じろぎした時。


「……気が付いたか?」


耳元に忍び込む、ハスキーなバリトンの声。

……懐かしく、耳に心地よいその声。

鈴菜はそっと目を開いた。

至近距離にある美しい漆黒の瞳。

色を帯びた、艶っぽいその瞳。


「……あれ、柊ちゃん?」


なぜ柊史がここにいるのか。

とぼんやり思った鈴菜に、柊史の顔が近づく。

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