センセイと一緒 ~feel.Black~




こくり、と鈴菜は頷いた。

弘子は信じられないと言ったように首を振り、険しい目で鈴菜を見る。


「……まさか。嘘よ。柊史が……」

「……」

「嘘よ。そんなこと、あるわけないわ。あの柊史が、結婚だなんて……」


ふらりと弘子は踵を返した。

そのまま別棟の方へと歩いていく。

……いつもの余裕に満ちた後ろ姿とは違う、どこか頼りなげなその姿。

鈴菜は去っていく弘子の背をなすすべもなく見つめていた。


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