センセイと一緒 ~feel.Black~




きっと……

抱けば抱くほど、自分は鈴菜に溺れていく。

……そんな予感がする。


柊史は理科準備室の自席の椅子に座り、机の引き出しを開けた。

中に入っているのは、小さなビロードの小箱。

その中には、銀色の指輪が2本入っている。

柊史はちらりとそれを見た後、引出しから遺伝子工学の学会誌を取り出した。

この間、大学から送られてきたものだ。

……と、その時。


「……柊史、いる?」


ドアの開く音とともに、後方から声がした。

……弘子だ。

弘子はつかつかと柊史の前まで歩み寄り、腕を組んだ。

その顔を見、柊史は眉を顰めた。

いつもは余裕な表情をしている弘子が、今はどこか切羽詰まったような顔をしている。




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