センセイと一緒 ~feel.Black~




弘子とは大学の時からの付き合いになる。

初めは友人として知り合い、肉体関係を持ってからは割り切った付き合いをしていた。

――――お互い、本気にはならない。

それが二人の間でのルールだった。

柊史の心には昔から鈴菜がいたため、本気になる要素は全くなかったのだが、どうやら弘子の方は違ったらしい。


「ねえ、柊史。あなたは周りの女に飽きて、ちょっと毛色の変わった子が珍しくなっただけよ。一時的な執着心よ。それは本気の恋愛じゃないわ」

「……弘子……」

「パンを食べ続けたら白米が食べたくなるように。それと同じよ」


弘子は柊史に言い含めるように言う。

きっと弘子はこれまで、本当の気持ちを隠してきたのだろう。

『お互い本気にはならない』

柊史はこれまで、どの女ともそういうルールで付き合ってきた。

弘子もそのルールを分かったうえで、体だけの関係と割り切って付き合ってきた。

と柊史は思っていたのだが弘子の内心はどうやら違ったらしい。

柊史は顔を上げ、弘子を正面から見た。


< 158 / 225 >

この作品をシェア

pagetop