センセイと一緒 ~feel.Black~

3.大人の世界




数日後。

鈴菜は補講の帰り、バス停への道を鞄を片手に歩いていた。

センター試験まであと二日。

もう、何が何でも勉強するしかない。

と、道の角を曲がった、その時。


「……あら、森下さん」


横から声を掛けられ、鈴菜は足を止めた。

見ると、弘子が笑みを浮かべながら鈴菜の方へと歩み寄ってくる。

この間の会話を思い出し、鈴菜は眉を顰めた。


「……京田先生?」

「偶然ね、こんな所で会うなんて」


弘子は鈴菜を見下ろし、くすくす笑う。

本当に偶然なんだろうか。

と内心で思った鈴菜の腕を、弘子はぐっと掴んだ。



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