センセイと一緒 ~feel.Black~




弘子は鈴菜の腕を引いたまま、店の一番奥へと歩いていった。

奥にあったドアを開け、中に入る。

中はさほど広くはないが、ソファーとテーブルが置かれた個室になっていた。


「さ、座りなさいな」


弘子は鈴菜を軽く突き飛ばすようにソファーに座らせ、カウンターに声をかけた。


「いつものやつをダブルで。……あと、オレンジジュースをひとつ」

「畏まりました」


弘子は言い、パタンとドアを閉めた。

バッグを脇の棚に置き、鈴菜の斜め向かいに座る。

ソファーはL字になっており、その角にテーブルが置かれている。


「……いつも、柊史はパルヴェニーをダブルで頼んでるわ。ここに来ると、ウィスキーしか飲まないのよ、柊史は」

「……?」

「パルヴェニーはシングルモルトのスコッチウィスキーよ。……ってあなたに言ってもわかるはずないわね、まだ未成年だものね?」



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