センセイと一緒 ~feel.Black~




柊史と別れるなど……

とても、できない。

恐らく柊史も、そんなことを許しはしないだろう。


「……っ、柊ちゃんっ……」


鈴菜の目が涙で滲む。

……脅された、ということ以上に……

弘子の言葉が、鈴菜の心を苦しめていた。


『柊史は酒はウィスキーしか飲まないわ。そして煙草はしない』

『柊史の香水は、リサ・アシュリイのホワイトムスクよ。昔からずっとあの香りだわ』

『柊史はいつも、私を丁寧に愛してくれたわ。私の体をゆっくりと開いて、優しく、じっくりと……』


――――柊史の過去。

鈴菜の知らない、柊史の過去。

鈴菜は自分の胸が黒い嫉妬で塗り潰されていくような気がした。



< 174 / 225 >

この作品をシェア

pagetop