センセイと一緒 ~feel.Black~
柊史と別れるなど……
とても、できない。
恐らく柊史も、そんなことを許しはしないだろう。
「……っ、柊ちゃんっ……」
鈴菜の目が涙で滲む。
……脅された、ということ以上に……
弘子の言葉が、鈴菜の心を苦しめていた。
『柊史は酒はウィスキーしか飲まないわ。そして煙草はしない』
『柊史の香水は、リサ・アシュリイのホワイトムスクよ。昔からずっとあの香りだわ』
『柊史はいつも、私を丁寧に愛してくれたわ。私の体をゆっくりと開いて、優しく、じっくりと……』
――――柊史の過去。
鈴菜の知らない、柊史の過去。
鈴菜は自分の胸が黒い嫉妬で塗り潰されていくような気がした。