センセイと一緒 ~feel.Black~
言い、踵を返そうとする。
――――が。
その腕を柊史ががしっと掴んだ。
「待て」
言葉とともに、ぐいと柊史の方に引き寄せられる。
鼻先をかすめる、甘くオリエンタルなホワイトムスクの香り。
鈴菜はドキッとし、息を飲んだ。
……が。
『柊史の香水は、リサ・アシュリイのホワイトムスクよ。昔からずっとあの香りだわ』
弘子の言葉がとっさに脳裏をよぎる。
鈴菜は思わず、反射的にその手を振り払ってしまった。
「……っ!」
柊史が驚いたように鈴菜を見る。
鈴菜も自分のしたことが信じられず、柊史を呆然と見た。
……その視線の先で。
柊史の目が、剣呑な光を帯びて鋭く細められる。