センセイと一緒 ~feel.Black~



合格発表から一週間後。

鈴菜は卒業式に参列していた。

出席番号順に、担任教師が名前を呼び上げていく。

鈴菜は壇上の真ん中にいる校長先生と、壇上の脇に設置された教員席に座っている柊史を見た。

さすがに今日は、柊史もシックな紺のスーツで身を固めている。

やがて3年B組の番になり、柊史が壇上のマイクの前に立った。

その姿に、保護者席や生徒たちの間からざわめきの声が上がる。

やはり柊史のルックスは目を引くらしい。

柊史は軽く前髪をかき上げ、名簿を片手に一人ずつ名前を呼び始めた。

……その、良く通るハスキーなバリトンの声。

鈴菜はなぜか胸が熱くなるのを感じながら、柊史の声を聴いていた。


「……芹沢 和泉!」

「はい!」


和泉がすっと立ち上がり、壇上へと歩いていく。

相変わらず王子様然としたその佇まいに、女子生徒達の間から歓声が上がる。



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