センセイと一緒 ~feel.Black~




「ああ、イズミ様っ……」

「今日で最後だなんて、哀しすぎるっ……」


やはり熱狂的ファンは健在らしい。

唖然とする鈴菜だったが、やがて自分の番になり、慌てて背筋を伸ばした。


「森下 鈴菜!」

「はいっ!」


鈴菜は立ち上がり、壇上へと向かった。

少しぎこちない足取りで壇上に上がり、校長先生から卒業証書を受け取る。

……これで、卒業するんだ。

そう思うと、なんだか感慨深いものがある。

鈴菜は卒業証書を片手に席に戻った。

卒業証書の授与はまだまだ続いている。


この学校で柊史の姿を見るのは、今日が最後だ。

自分が、教師としての柊史の姿を見るのも、今日が最後……。

鈴菜は壇上の柊史の姿を、心に焼き付けるようにじっと見つめていた。



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