センセイと一緒 ~feel.Black~



そして、週末。

柊史に言われた通り、鈴菜は水玉模様のチュニックの下に濃紺のジーンズという格好で駅前の案内板の前に立っていた。

……と、そこへ。

ロータリーから走り込んできた黒いバイクがキキッと音を立て、鈴菜の前に止まった。

黒いジーンズに黒いジャケットを着た、長身の男。

柊史だ。

柊史はヘルメットを取り、ばさっと髪を振り前髪をかき上げた。

――――その、格好も仕草も全てが格好いい。

脇を通り過ぎていく女性たちが、皆、一様に驚いたように柊史に視線を投げる。


「鈴菜、乗れ」


言い、柊史はもう一つのヘルメットをぽんと鈴菜に渡した。

唖然とする鈴菜に、柊史はスポッとヘルメットを被せる。


「……っ!?」

「ほら、急いで乗れ。行くぞ」


言い、柊史は再びヘルメットをかぶり、ハンドルを握った。

鈴菜は慌てて後部座席に乗り、柊史の腰にぎゅっと手を回した。



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