センセイと一緒 ~feel.Black~
……昔。
和泉が父親に熱湯を掛けられ、右足にひどい火傷を負った時。
その時、柊史は中学3年だった。
反抗期だった柊史は父に反抗し、寝るとき以外は家に寄りつかないようになっていた。
父のDVもそうだが、DVを受けている和泉や和泉の母の姿を見るのが辛かった。
……自分にはどうしようもない。
DVを受けている和泉達を自分では救うことができない。
その無力感が、柊史を家から遠ざけていた。
――――そして、あの事件が起こってしまった。
和泉が火傷をし、治療のために入院したと聞いた時……
柊史は自らの情けなさに愕然とした。
……妹を、救えなかった。
その自責の念が、柊史を病院から遠ざけていた。
そんな、ある日。
和泉が入院して一週間ほど経った頃だろうか。
柊史が通っていた中学の校門に、鈴菜が立っていた。
『あ、柊ちゃん!』