センセイと一緒 ~feel.Black~
二章
1.ひと時の恋
8月下旬。
夏休みもあと数日で終わるという平日の午後。
鈴菜は補講のため、学校に来ていた。
数学の講義の後、志望大学について柊史に相談するため、理科準備室へと向かう。
……と。
理科準備室から出てくる女性の姿に気づき、鈴菜は息を飲んだ。
「……あら、あなた……」
女性──弘子は少し笑い、鈴菜に声をかける。
鈴菜は背を強張らせ、弘子を見つめた。
頭半分ほど高い位置にある、弘子の顔。
華奢な鈴菜の体とは全く違う、メリハリのついた女の躰。
「この間も、ここで会ったわね?」
「……」
「あなた、ひょっとして……」