センセイと一緒 ~feel.Black~
弘子は息をつき、腕を組んだ。
横目でちらりと鈴菜を見、続ける。
鈴菜は呆然としたまま弘子の話を聞いていた。
「柊史には不思議な魅力があるわ。引力と言ってもいいかもしれないわね。それに惹かれて女は彼に本気になるの。でも彼は誰も愛さない……」
弘子はひとり言のように話し続ける。
鈴菜はぐっと唇を噛みしめた。
……不思議な魅力。
それは鈴菜にもなんとなくわかる。
ざっくばらんで強引な性格だけれど、どこか影があるというか……。
それは柊史の過去に理由があるのかもしれない。
それを知っているのは鈴菜や和泉など、ごく限られた人間だけだが。
「大学の頃から、もう何人も知ってるわ。柊史に捕われた女は、彼に食い尽くされて……そしてからっぽになった自分に気づいて、怖くなって逃げていくの」
「……っ」
「それに柊史も、来る者拒まず去る者追わず、よ。少しでも大事に思った相手なら、普通は引き留めようとするでしょう? でもこれまで、そんな女はいなかったわ」