センセイと一緒 ~feel.Black~




「その小龍包にはあたしの愛がこもってるからね。味わって食べるんだよ?」

「……これ和泉が作ったの?」

「いや、冷凍食品」

「……」


だろうな、と思う鈴菜に、和泉は笑って言った。


「今時の冷凍食品ってなかなかすごいんだよ。味噌ラーメンなんてのもあるし」

「……それってお弁当用なの?」

「いや、普通に食べるやつだけどね」


和泉は言いながら箸を動かす。

鈴菜のお弁当は母に作ってもらっているが、和泉は母子家庭のため、働きに出ている母のかわりに和泉がほとんどの家事を行っている。

普段の王子様然とした雰囲気からは想像つかない、和泉の一面。

恐らくこのことを知っているのは鈴菜と柊史ぐらいだろう。

ちなみに柊史は両親が離婚してからずっと一人暮らしをしているらしい。

……と考えたところで。

鈴菜は和泉に相談したいことを思い出し、背筋を伸ばした。



< 5 / 225 >

この作品をシェア

pagetop