センセイと一緒 ~feel.Black~
そして週末の金曜。
文化祭当日。
鈴菜は和泉とともに、理科実験室で生物部の展示物を眺めていた。
さすがにこの日は3年も授業はなく、文化祭に参加するもしくは自宅学習となっている。
「へー、きれいにできるもんだね~」
と言いながら和泉が眺めているのは、魚の透明骨格標本だ。
魚と言ってもメダカやフナ、キビナゴ等の小魚がメインだが。
透明骨格標本は骨に色を付けて特殊な薬品により筋肉を透明にして作る骨格標本で、筋肉がそのままなので生物が生きていた時の状態で骨格を観察することができる。
この頃流行っているらしいのだが……鈴菜にはよくわからない。
けれど並べられた魚はどれも美しく、ぱっと見、良くできたインテリアオブジェのようだ。
「ね、兄貴。このキビナゴ、一匹ちょうだい」
「馬鹿を言うな。そいつを作るために何日かかったと思ってる? 一か月だぞ?」