センセイと一緒 ~feel.Black~




柊史は呆れたような声で言う。

鈴菜はくすっと笑い、隣に展示された『作り方』を読んでいた。

ホルマリンに付けた後、皮や鱗をはぎ、脱水して染料で色を付けて行くらしい。

どの工程も数日かかるらしく、メダカレベルでも完成までに3週間ほどかかるようだ。


「ちぇっ、ケチ~」

「人聞きの悪いことを言うな」


と言った柊史に、和泉は首を傾げて口を開く。


「でもさ。……これって、人体にもできるわけ? ミイラの作り方と同じようなもんでしょ?」

「あれとは多少違うな。どちらかというと今のエンバーミングに近い感じだ」


二人の会話に、鈴菜は首を傾げた。

……よくわからない。

けれど死んだ後もこうして生きているときの姿が残せるというのは……すごいことだと思う。

感心する鈴菜の前で、和泉がメダカの標本に手を伸ばす。



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