センセイと一緒 ~feel.Black~



16:10。

鈴菜は理科準備室の前に立ち、コンコンと軽くノックした。

そっとドアの取っ手に手をかけ、ドアを開ける。


「……」


鈴菜は首を傾げた。

誰の姿も見えない。

……確か柊史は理科準備室だと言っていたような気がするのだが。

鈴菜はドアを閉め、ゆっくりと理科準備室に入った。

実験器具や薬剤が並ぶ棚の前を通り、奥の教員机が並んでいるスペースへと足を向ける。

と、教員スペースに入ろうとした、その時。


「……っ!?」


ぐい、と腕を引かれ、鈴菜は脇にあったソファーの上に転がった。

突然逆さまになった視界。

驚きのあまり目を見開く鈴菜の耳元に、とん、と手が付く。

……見ると。

柊史が鈴菜の体を挟む格好で、ソファーに乗り上げている。


< 77 / 225 >

この作品をシェア

pagetop