センセイと一緒 ~feel.White~
一章
1.奨学金
あと数日で7月になるという日。
鈴菜は家のリビングで両親とともに進路について話していた。
進路希望調査票の提出期限は明日だ。
鈴菜は私立大学であるN大学のパンフレットをテーブルの上に置き、両親を見た。
「この大学の人文社会学科に行きたいの!」
……あれから考えた結果。
近くの国立大学よりこのN大学に行きたいという思いが強くなり、鈴菜は両親を説得することを決心した。
N大学は斬新な文化研究を行っていることで有名な大学だ。
N大学はここからなんとか通える範囲にあるが、学費は国立大学の約二倍になる。
鈴菜の言葉に、父の弘は険しい表情で首を振った。
「ダメだ」
「なんでっ?」
「前から言っているだろう。私学だと学費が厳しい。大学に行くなら、近くのK大にしろ」
父の言葉に、鈴菜はぐっと唇を噛みしめた。
学費がないのは、両親が教育費用のほとんどを姉の春菜に注ぎこんだからだ。
姉は昔から勉強ができたため、両親は姉に期待し、姉のために教育費用を惜しげもなく使ってきた。