センセイと一緒 ~feel.White~
「そんな人、などと言われるのは……さすがに僕も黙ってはいられませんね……」
言い、尚哉はうっすらと笑う。
……あの時、体育館の裏で見たのとよく似た表情。
鈴菜は息を飲んだ。
「……いいでしょう。はっきり言いましょう」
尚哉は目を伏せ、村居さんを見下ろす。
村居さんは突然様子が変わった尚哉を、驚愕の瞳で見つめている。
「僕はあなたには興味がありません。あの人以外の女性は、僕にとっては女じゃない」
「……っ……」
「ましてやあなたのように、見も知らぬ人を平気で貶めることができる人間は、僕にとっては動物や虫と同じレベルです」
「……先生っ……」
「はっきり言って迷惑です。……これでわかりましたか、村居さん?」
尚哉の言葉に。
村居さんはぶるぶるっと肩をふるわせた後、わっと泣きながら踵を返した。
こちらの方に走って来るのを見、鈴菜はとっさに建物の陰に身を隠した。
村居さんは鈴菜に気付いた様子もなく、ロビーの方へと駆け去っていく。
鈴菜はその背を見送ったあと、ほっと息をついた。
どうやらバレなかったらしい。